知って得するお金の話~家計の節税ポイント

「節税」というと、会社や自営業にたずさわる人のこと、と考えてしまいがちです。

でも、家計でも節税できる方法があります。税金の負担を軽くするこということは手取りを増やすということです。利用できる節税方法はやってみる価値は大きいと思います。

□家計の節税ポイント

個人の家計で使える節税ポイントは、「所得控除」を利用することです。

控除とは「差し引く」という意味で、所得控除とは所得から差し引いてもいいと認められているもののことです。所得が少しでも減れば、その分所得税や住民税が安くなります。だから、利用できる所得控除は積極的に使ったほうがお得なんです。

所得は、「額面収入-必要経費分」で求めます。必要経費分には、会社から給料をもらっている人は給与所得控除が、会社を退職した人は退職所得控除が該当します。これらに加えて、所得からさらに差し引けるものが所得控除です。

□家計の節税に利用できる「所得控除」とは

所得控除は15種類もあります。どんなものがあるか、ざっとご紹介します。

【基礎控除】
合計所得金額が2,500万円以下の人が対象となる控除です。控除額は合計所得金額に応じて変わりますが、ほとんどの人が該当するのは、合計所得金額2,400万円以下の48万円になると思います。

また、2025年から103万円の壁が123万円の壁に引き上げられれば、合計所得金額2,400万円以下の基礎控除は58万円になる予定です。

【配偶者控除】
配偶者の合計所得金額が48万円以下で、なおかつ納税者の所得が1,000万円以下の場合に利用できる控除です。納税者の所得に応じて控除額が変わります。たとえば、本人の所得が900万円以下なら控除額は38万円で、配偶者が70歳以上なら48万円になります。

配偶者控除の対象となる配偶者の給与収入は103万円以下となっていますが、年収の壁が123万円に改正されれば、配偶者の合計所得金額は58万円以下、給与収入は123万円以下に変わる予定です。

【配偶者特別控除】
配偶者の合計所得金額が48万円超、133万円以下で、納税者の所得が1,000万円以下の場合、配偶者特別控除を受けられます。控除額は合計所得金額により変わります。たとえば、本人の所得が900万円以下で、配偶者の合計所得金額が95万円以下(給与収入なら150万円)であれば、満額の配偶者特別控除(38万円)を受けられます。配偶者の合計所得金額が増えると、控除額も段階的に減額となります。

この場合も年収の壁が123万円に変われば、対象となる配偶者の給与収入は150万円から160万円に引き上げられる予定です。

【寄附金控除】
ふるさと納税をすれば、「寄付額-2,000円」分が所得から差し引けるので、所得税と住民税が安くなります。

【小規模企業共済掛金控除】
iDeCoに加入している場合、掛金全額が小規模企業共済掛金控除の対象になります。iDeCoを利用すれば所得税、住民税が安くなるということです。老後資金の準備に活用しつつ、節税もできる制度なので、利用を検討してみてもよいでしょう。

【医療費控除】
1年間の医療費が10万円を超えた、あるいは、総所得額が200万円以下の人は、その総所得額の5%を医療費が超えた場合、超えた分に相当する所得税、住民税が安くなります。

手続きが面倒でやらない人もいるみたいですが、多くかかった医療費を取り戻すために手続きしたほうがオトクです。

【扶養控除】
納税者と生計を一にしており、合計所得金額が48万円以下(給与収入なら103万円以下)などの条件を満たす扶養親族がいる場合に利用できます。一般の扶養親族なら控除額は38万円、19歳以上23歳未満の特定扶養親族の場合は63万円となります。

また、70歳以上の親を扶養している場合で、生活費を補てんするなどして生計を一にしていれば、同居の場合は58万円、別居でも48万円の扶養控除を受けられます。

これまでは、扶養する子どもが19歳以上23歳未満の場合、子どもの年収が103万円を超えたら扶養控除を受けることができませんでした。しかし、2025年の年収の壁の改正により、子どもの年収が150万円未満であれば、親は特定扶養親族の63万円の控除を受けられるようになります。

【社会保険料控除】
納めている社会保険料は全額、社会保険料控除の対象となります。また、生計を一にする配偶者や扶養家族の保険料も控除対象です。自営業者などが加入する国民年金基金の掛金も全額が社会保険料控除の対象となります。

【生命保険料控除】
加入する生命保険や介護医療保険、個人年金保険に支払っている保険料のうち、一定額は生命保険料控除の対象(最高12万円)となります。

令和7年度税制改正大綱では、子育て世帯を対象に生命保険料控除の一部が拡充されることが示されています。改正内容としては、2026年に限り、23歳未満の扶養親族がいる世帯は一般生命保険料の控除額4万円が6万円に引き上げられる予定です。

【地震保険料控除】
地震保険の保険料を支払った場合、支払った保険料額に応じて一定の控除を受けられます。

【ひとり親控除】
シングルマザー、シングルファーザーで生計を一にする子どもがおり、合計所得金額が500万円以下の場合、ひとり親控除により35万円が控除されます。

【雑損控除】
災害や盗難などによって資産に損害を受けた場合、以下の多い方の金額が控除されます。

・(損害金額+災害等関連支出の金額-保険金等の額)-(総所得金額等)×10%
・(災害関連支出の金額-保険金等の額)-5万円

【障害者控除】
納税者自身、生計を一にする配偶者、扶養親族が所得税法の障害者にあてはまる場合、障害の重さや同居の有無に応じて、一定金額の控除を受けられます。

【勤労学生控除】
納税者自身が控除対象の勤労学生になる場合、27万円の控除を受けられます。

【寡婦控除】
納税者自身が寡婦になる場合、27万円の控除を受けられます。

寡婦とは、以下の人が該当します。
・夫と死別した後に結婚していない、または夫の生死が不明で、合計所得金額が500万円以下の人
・夫と離婚した後は未婚で扶養親族がおり、合計所得金額が500万円以下の人

各所得控除の詳細は国税庁のWebサイトでご確認ください。

なお、所得控除は会社員の場合、年末調整で会社に必要書類を提出すれば手続きできます。ただし、医療費控除や雑損控除、ふるさと納税をしてワンストップ特例制度を利用しない場合(寄附金控除)は会社員でも確定申告が必要です。自営業者やフリーランスの人は確定申告で所得控除の手続きをしましょう。

家計の節税では所得控除が活用できることをお伝えしてきましたが、こういう話は国も自治体も直接教えてはくれません。自分で情報を集めないと、知らないままお金を損してしまうこともあるのです。自分はどの所得控除を受けられるのか、この機会に確認することをおすすめします。

 

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