受給する老齢年金を少しでも増やすためにできること3選

私たちは65歳になると、老齢年金を受給できるようになります。
老齢年金は次の2種類があります。

○老齢基礎年金
国民年金、厚生年金に10年以上加入する人が受給できる年金です。
40年間(480ヶ月)加入すると、満額の老齢基礎年金を受給することができます。

※令和4年4月からの老齢基礎年金の満額は、年額77万7,792円(月額6万4,816円)です。

○老齢厚生年金
会社員や公務員が受給できる年金です。老齢基礎年金を受給できる人で、厚生年金保険に加入する人が受給できます。厚生年金の加入期間と、加入中の平均標準報酬額に応じて受給額は変わります。
厚生年金の加入者は、老齢基礎年金と同時に老齢厚生年金も受け取ることができるのです。

会社員や公務員は老齢厚生年金を受給できますが、自営業者やフリーター、専業主婦(夫)の場合は、会社に勤めた期間がなければ、老齢年金は老齢基礎年金しか受給することができません。そのため、国民年金の未加入期間がある人、免除制度や納付猶予制度、学生納付特例制度を利用したことがある人は、満額の老齢基礎年金を受給することができないのです。

そこで、老齢基礎年金を満額に近づけたいとき、あるいは、会社員や公務員でも受給する老齢年金額を増やしたいとき、私たちができることを3つご紹介しましょう。

1.任意加入制度を利用する

国民年金は、すべての人が20歳から60歳になるまでの間、加入することになっています。けれども、事情により未加入期間があって通算40年(480ヶ月)に満たない場合は、任意加入制度の利用をおすすめします。

任意加入制度とは、
・60歳以上65歳未満の人
・保険料納付期間が40年(480ヶ月)に満たないこと
・厚生年金保険に加入していないこと
・老齢基礎年金を繰上げ受給していないこと
などの要件を満たす場合、任意で国民年金に加入することができる制度です。

任意加入で保険料納付期間を480ヶ月に近づけることで、受給する老齢基礎年金も満額に近づけることができます。特に自営業の人、専業主婦の人は任意加入で満額の老齢基礎年金に近づけるとよいでしょう。

ちなみに、国民年金保険料は前納すると割引が受けられます。1年前納で年間3,530円、2年前納で14,540円の割引になります。

2.付加年金を納める

国民年金に加入している人、任意加入している人は、付加保険料を納めると、付加年金を納めた期間分、老齢基礎年金を増やすことができます。

付加保険料は、月額400円です。

老齢基礎年金に上乗せできる額(付加年金額)は、以下の通りです。
・200円×付加保険料納付月数
※上記で計算される付加年金額は年額です。

上乗せできる額はわずかかもしれませんが、月400円で老齢基礎年金を増やすことができ、2年以上上乗せで付加年金を受け取れば元は取れるので(納めた付加保険料以上の年金を受け取れる)、利用可能の場合は活用することをおすすめします。

3.年金を繰下げ受給する

繰下げ受給とは、通常65歳から受給する老齢年金の受給開始時期を66歳~75歳(2022年3月までは70歳)に遅らせること。繰り下げすると、1ヶ月0.7%年金が増額となります。増額率は、70歳まで繰り下げると42%、75歳なら84%になります。また、一度決まった増額率は、一生変わりません。

老齢基礎年金と老齢厚生年金の両方を一緒に繰り下げるだけでなく、どちらか片方だけを繰り下げることも可能です。

繰下げ受給で年金額は増やせますが、増えた分、所得税、住民税、社会保険料も増えます。繰り下げしている期間中に収入がなければ、納める税金は発生せず、社会保険料は下がりますが、繰下げ受給を始めると収入が増えるため、急に税金や社会保険料が増えることになる点は留意しておきましょう。

加給年金を受給できる場合、繰り下げしている期間は加給年金を受給することはできません。また、夫婦の年齢差が少なければ、繰り下げ期間中に加給年金の受給機会がなくなる場合もあります。
加給年金を受給できる人は、老齢厚生年金だけは65歳から受給し、繰り下げは老齢基礎年金だけにするとよいかもしれません。

老齢年金を増やす方法を3つご紹介しました。利用できそうなものを活用してみてはいかがでしょうか。

 

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