老後資金の準備ができるiDeCo(イデコ)の活用術

老後の生活に漠然とした不安を抱えている人は少なくありません。いつまでも安心して生活していくためには、ライフプランを立てて将来の生活に必要な資金をできるだけ早く準備を始めたいものです。とはいえ、どうやって準備するのがよいのでしょうか? そんな疑問を持つあなたへ、老後資金の準備方法の1つとして活用できるiDeCo(イデコ)についてご紹介します。

iDeCoって何?

iDeCo(イデコ)とは個人型確定拠出年金のことで、老後資金を準備する手段として活用できます。自分で商品を選んで掛金を積み立て、自分で運用方法を選ぶという私的年金の制度です。

運用する商品は主に投資信託で、運用状況によっては元本割れすることもあるかもしれません。でも、時間を分散しながら長期間運用することによって、リスクを軽減させることはできます。そんななか、元本が保証される定期預金や保険の商品もあります。自分のリスクの許容度に合わせて商品を選ぶとよいかもしれません。

掛金は最低5千円から千円単位で決めることができますが、働き方によって掛金の上限額は異なります。

・自営業者、フリーランスなど: 月68,000円 年額816,000円
・専業主婦(夫): 月23,000円 年額276,000円
・企業年金のない会社員: 月23,000円 年額276,000円
・企業型DCに加入する会社員: 月20,000円 年額240,000円 (※)
・確定給付企業年金に加入する会社員・公務員: 月12,000円 年額144,000円

(※)企業型DCの加入者は、勤め先の規約によってはiDeCoに加入できない場合があります。ただ2022年10月からは加入要件が緩和されて、企業型DCの加入者もiDeCoに加入しやすくなります。

iDeCoは60歳になるまで掛金を積み立てますが、途中で積立金を引き出すことはできません。これは一見デメリットのように見えますが、途中で引き出すことができないからこそ、確実に老後資金を貯めることができるのです。

iDeCoで覚えておきたいことは、コストがかかる点です。加入時手数料、口座管理手数料、受取時の事務手数料などほか、投資信託の場合は信託報酬がかかります。手数料は金融機関によってかかる金額が異なります。ネット系の金融機関は比較的手数料が安い傾向にあります。iDeCoを始めるときは、手数料一式も確認しておくことをおすすめします。

iDeCoに加入するメリットは?

iDeCoは、節税しながら老後資金を準備できるところが大きな特徴といえます。その節税メリットは以下の3つです。

【1】掛金は全額所得控除

1年間積み立てた掛金の全額が所得控除となります。つまり、掛金に相当する所得税と住民税が安くなるのです。

【2】運用益がすべて非課税に

通常、預貯金や運用で得られる利益は約20%の税金がかかるのですが、iDeCoの運用益は非課税になります。受け取れるお金が税金分だけ増えるのはうれしいですね。

【3】年金を受け取るときも税制優遇がある

iDeCoの老齢給付金は、年金で受け取ると「公的年金等控除」、一時金で受け取ると「退職所得控除」の対象となります。つまり一定額までは税金がかからないということです。

iDeCoの受け取り方をプランニングして65歳以降の年金収入を増やす

これまではiDeCoに加入できるのは60歳未満の人で、60歳から老齢給付金を受け取るには10年以上の加入期間が必要でした。もし加入期間が10年を下回るときは、その期間に応じて、受け取れる年齢が61歳~65歳の間に繰り下げられることになっています。

・8年以上10年未満:61歳
・6年以上8年未満:62歳
・4年以上6年未満:63歳
・2年以上4年未満:64歳
・1ヶ月以上2年未満:65歳

けれども、2022年5月からは、加入できる年齢が65歳未満まで引き上げられます。自営業者やフリーランスで60歳以降も国民年金に任意加入をする人はその加入期間、あるいは60歳以降も仕事を続ける会社員は65歳までの働く期間は、iDeCoの加入を延長することができます。60歳の時点で加入期間が10年に満たない人でも65歳になるまで加入できれば、掛金を積み増しすることが可能です。

また、iDeCoの老齢給付金は60歳から70歳になるまでの間に受給を始めることになっていました。けれども2022年4月からは受給開始年齢が75歳までに引き上げられました。老齢給付金の受け取り時期の選択肢が広がったのです。自分のライフプランに応じて、75歳までの最適な時から受給すればいいのです。

それに、掛金の積み立てが60歳もしくは65歳までの間で終わったとしても、75歳までならそのまま非課税で運用を続けることができます。運用期間が延びれば、資金を増やすチャンスができるわけです。自分がいつまで仕事を続けるか、老齢年金がどれくらいになるのか、退職金や貯蓄をどう取り崩していくかなどを考えながら、65歳以降は戦略的に年金やiDeCoの老齢給付金(企業年金の給付金も)を受け取るプランを考えておきたいですね。

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